積むよりも速く読め!

学術書になじみがない人にも読みやすく、学問の面白さが伝わるような書籍を紹介していきたいです。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

基礎研究の現場を垣間見る。 『「役に立たない」研究の未来』(初田哲男ほか, 2021, 柏書房)

ただ、歴史を見るに、それでも人びとは、「役に立つかどうか」という話をすることをやめられなかった。やめられないのはなぜかというと、それがおそらく「政治的」な言葉、「未来」に関する言葉だからだと私は考えています。「有用性」とはすなわち、未来に…

教養を目指し続ける日々を送ろう 『教養の書』〈2〉(戸田山和久, 2020, 筑摩書房)

次に考えなければいけないのは、どうやったら教養への道を歩みだすことができるかだ。「歩みだす」というところがミソ。なぜなら、すでに述べたように教養は自己形成のプロセスなので、これが終わりということがありえない。教養への道は果てしなく遠い。だ…

哲学者が考える「教養」のカンペキな定義とは。『教養の書』〈1〉(戸田山和久, 2020, 筑摩書房)

大学の4年間の教育は、「専門家育成をチョットだけ」ではないそれ自体完結した目的をもつべきだ。そうでないと学生が気の毒じゃないだろうか。その目的こそ「教養の涵養」ではないかと思う。したがって、教養教育は専門教育の準備ではない。それ自体の目的…